('11/4/9に書いた文章)大事故の「主犯」であるはずの自民党が、事故が起きたせいで大勝利……なんてことは……

※('12/12/15)これは、 2011年4月9日にmixiで書いた文章を転載したものです

事故のリスク管理とは、一般的には「事故の発生確率×損害額」を最低限にすることである。
ただし、その「損害」なるものが致命的な……たとえばある地域を長期間にわたって使用不可能にするようなものである場合、事故の発生確率が天文学的な低さで計算されても、そのプロジェクトは決して実行されるべきではない。

理由の1つは、その確率がどれだけゼロに近くても、実際に起きてしまったら「1」になるからだ。
しかし、理由のもう1つは……えてしてそういう場合、天文学的な低さというのは真っ赤なウソであり、実際には十分ありうる程度だったりするからである……

 〜 リスク管理についてのある考え方より 〜

<1>
 これは、たとえ話です。

 あるデパートのグループがあり、従業員はいくつかのグループに分かれていました。
 主流派のトップが経営者となりデパートを経営してきました。それが何十年間も続いてきました。主流派のことはJ派と呼んでおきましょう。
 非主流派はコロコロ名前が変わり、さらに分裂したりくっついたりとややこしかったのですが、大きいのができて、それがM派なのでそう呼んでおきましょう。

 デパートは急成長を続けました。しかしビル管理用の石油がオイルショックで入手困難になるとパニックに。J派はビル管理の子会社に、「未来のエネルギー」を使えるよう強引に推進しました。
 「未来のエネルギー」の美しい名前とはウラハラに、「事故で、その地域に何十年も人が住めなくなる」危険性を抱えていました。しかしJ派は「絶対安心!」と言い張って進めました。ウラでは多額のお金が動いていたようです。

<2>
 その「未来のエネルギー」は、よその国で「実際にその地域に何十年も住めなくなる」事故を起こしました。しかしJ派は「うちの国は管理が厳格だから大丈夫」と言い続けました。

<3>
 永遠に続くと思われたJ派の支配にも終わりの時がきました。デパートの運営であらゆる面に行き詰まりが見えたのです。デパートのお客である周辺の住民の不満もあって、M派が経営者となりました。
 しかし、M派への熱狂は深い失望に変わります。J派がつくった社内組織のまずさ(それが濃縮されたものが「未来のエネルギー」関係)を直そうとしたまでは良かったのですが、あっさりと従ってくれるわけもなく、デパートの運営は、今まで以上に混乱、周辺住民は「まだJ派の方が良かったよ」と不満をつのらせています。

<4>
 そこへ台風という天災が襲ってきました。
 千年に一度という未曾有の勢力で、死傷者は出なかったものの、直撃された地域ではデパートも住民も大混乱。物資の供給もままなりません。M派への不満はヒートアップします。
 未曾有のことなので、J派でもどこまでできたのかは疑問ですが、まあ、もう少しはマシだったような気はします。

 そして……「未来のエネルギー」装置が大事故を起こしました。
 M派の対応があまりうまくいかず、事態がいっこうにおさまらない。イライラがつのった住民の怒りが爆発。M派は失脚して、J派が支配層に返り咲きました!

 あれ? これ、おかしくね?
 住民が怒るのはもっともだし、M派に怒りをぶつけるのは人情だけど……。何かがおかしくね?

P.S.
 一応書いておくと

デパート=日本
デパートの従業員=国会議員
J派=自民党
M派=民主党
「未来のエネルギー」=そのまんま原子力

(天災が台風だったり、死傷者は出なかったと書いたりするあたりは、現実とズレがあるのですが、あえてそうしています。)

 で、今度の選挙で民主党が大敗しかねないので、もしそうなったらこういうことだよなー、と思って書いてみました。
 だいたいはこんな感じだと思って。違うでしょうか? もし違うとしたら、細かいところじゃなくて、本質的なところが大きく違うのでしょうか?(そしてそれは何ですか?)

P.S.2
 自分のスタンスは「(昔の)自民党内のリベラル派」だったはずなんですが。この件については、昔からどうも…。

 太陽光発電で先駆者だったはずの日本が、トップの座を明け渡したのは2005年ごろ。普及段階に入ろうとして電力会社の利益とぶつかったことがブレーキに、とも考えられます。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E9%99%BD%E5%85%89%E7%99%BA%E9%9B%BB#.E6.97.A5.E6.9C.AC.E3.81.AE.E7.8A.B6.E6.B3.81

 福田康夫さんが2008年に「福田ビジョン」を打ち出して巻き返しを狙ったのは触れておくべきかな。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%8F%E7%94%B0%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3

 でも、結局中途半端に。(それは民主党も同じですけど)

P.S.3
 今こそ、そちらの方に向かうべきときだと思えます。でも、自民党にできるでしょうか?
 それは「痛みを伴う改革」だから、なかなかできなかったのでしょう。

 かつていくつもの大企業の例で、評判が地に墜ちてから、ようやく本当の改革ができた、ということがあります。
 でも、過去の大失敗のおかげで、逆に大勝利しちゃったら?

 本当の「痛みを伴う改革」って難しくなるんじゃないでしょうか。