おたクララ(如月ますみ)のQMAがらみゲーム評論＜１＞ 「『100点満点ランキング』が示す、“百人一首”としての『クイズマジックアカデミー３』」 〜「ブルボン小林のゲームソムリエ」での批判を検証する〜
いやー、われながら長いタイトルですねー。ということは、さておき。
今回は、週刊「ファミ通」の連載「ブルボン小林のゲームソムリエ」について取り上げます。
「クイズマジックアカデミー」の復習メモプレーヤーについて語られている、ということで、買ってきました「ファミ通」'06/3/3号。（発売日は'06/2/17） いや、今日まで発売で、明日金曜日には次の号がでちゃうんですけど(汗)
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さて、問題の回はVol.16「競うべきは勤勉さではなく」。読んで感心、よく書けています。
が。
大きなウソがあります。
具体的に見ていきましょう。
ますみなりに要約すると、この回の主旨は、「クイズマジックアカデミー」で復習メモを取って家で調べる行為は悪くはないが格好悪い（ヤボだ）というもの。で、その根拠となるのは、クイズとは本来、暗記力を競う遊びではなく教養を競う遊びだ、的な考え方です。「ゲームソムリエ」での文章はこうなっています。
＞俺、家で調べるために問題を書き込む予習でさえもどうかと思うよ。
＞ だって記憶力を競う遊びじゃないもの。人生を普通に（そのクイズの存在とは無縁に）生きてきて得た「教養」を競うのがクイズという遊びだ。
（※場所は、ページ左側の中央よりちょっと下）
この「教養を競うのがクイズ」というのは、何割かは本当だと思います。しかし、それは「半面未満の真実」であり、そう言い切るのはあまりにも乱暴な極論だと思います。しかし、そこにツッコミを入れるのは今回はやめておきます。
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では、どこにツッコミを入れるのか。
ますみの結論を先に書きましょう。
「クイズマジックアカデミー」シリーズは、クイズをネタにした“百人一首”という性質を色濃く持っています。（それは最新作である「３」でも本質的には変わっていません） また、システムも運営も、“百人一首”性を削りに行くどころか、むしろ増幅する方向に動いています。（カードを作った直後には、そのへんは見えにくいのですが、上級魔術士〜大魔導士のあたりから徐々に見えやすくなってゆきます）
つまり、「記憶力を競う遊び」の極限としての性質が非常に強く、「教養を競うのがクイズ」の対極に近いのが「クイズマジックアカデミー３」なのです。それをゲームシステムやゲーム運営込みで批判するならともかく、復習メモプレーヤーだけに責任を押しつけるのは、スジが違います。
上のような結論を言える根拠は何か。「クイズマジックアカデミー３」の「100点満点ランキング」の存在にからめて語ることにします。
「クイズマジックアカデミー３」のセンターモニター（メインモニター）では「100点満点ランキング」を見ることができます。この「100点」というのは、全問正解しただけでは取ることができません。予習なら６問全部、問題が出はじめてから４秒程度のゲージが緑になっている時間*1に答えなければ取れないのです。百人一首的な性質が非常に強いわけです。
知識として知っているだけでは、１００点というのはなかなか取れるものではありません。百人一首に強くなるために、句を暗記するのと同じで、問題を暗記していかなければ１００点をドンドン取ることは難しいわけです。
それをわざわざランキングにするということは、「問題文をドンドンを暗記して、１００点満点を取りまくった人はエライ」という価値観で「クイズマジックアカデミー３」が運営されていると推測できます。
［※'06/2/23 AM1:11補足)］もし、「100点を取れないやつはえらくないのか？」みたいな読まれ方をされたらイヤだなー、と思ったので補足。
「Ａな人がエライ」から「Ａじゃない人はエラくない」かというと、そうとは限りません。実際「クイズ好きな普通の人」も肯定されているはずです。「３」の組システムは「マニアと普通な人の住み分け」をめざしたものと考えられますし。（まあ、「組システム」での住み分けは、ある程度は成功しているものの、まだまだ不十分だと、ますみは思いますが……）
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ゲームの「勤勉さ」を問い直す、という主旨は良いと思います。これは皮肉ではなく、本当に良いと思います。しかしゲームシステムや運営方向をきちんと分析せずに、プレーヤーだけに責任を押しつけるような文章（ますみにはそうとしか思えません）を書くのは、スジが違います。
ゲームのシステムや運営の方向をきちんと分析し、それをふまえて文章を書くのが「ゲームソムリエ」として果たすべき役割というものではないでしょうか。
……とますみは思ったのですが。みなさまはどう思われますでしょうか。
*1:問題によって多少異なります
